コセルゴ®カプセルは、2025年に19歳以上の患者への投与や食事前後の投与が可能となりました。 薬剤の最新情報は電子添文をご参照ください。

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神経線維腫症1型における叢状神経線維腫の重要性と日本人を対象としたコセルゴ®の臨床成績

監修・出演:末延 聡一 先生
(大分大学大分こども急性救急疾患学部門医療・研究事業[小児科] 教授)​

※医師の所属・役職は動画公開時点のものです​

神経線維腫症1型において、最適な治療プランを構築するためには、叢状神経線維腫の存在を精査することが重要です。そこで、叢状神経線維腫へ注目する必要性や診療のポイント、日本人対象の臨床試験を中心としてコセルゴ®の基本情報について、大分大学の末延聡一先生にご解説いただきました。

※下部に本動画のスライドと解説を載せています。ご参照ください。​

動画構成​

再生バーのマークをクリックすると、各チャプターへ移動できます。

0:06~
はじめに​
1:05~
叢状神経線維腫と悪性末梢神経鞘腫瘍
3:30~
患者さんに伝えていること
4:32~
新たな介入選択肢であるコセルゴ®
6:02~
国内第Ⅰ相試験
8:45~
終わりに​

※PCでご覧の方は、クリックでスライドと解説を拡大できます​

はじめに​

皆さん、こんにちは。大分大学の末延聡一です。​
神経線維腫症1型(以下、NF1)は、症状の程度や発現時期など、個人差の大きな疾患であることが知られています。

そのため、患者さん個々の背景や症状にあわせた診療プランを立てる必要がありますが、小児期において特に注意を要する症状の1つである叢状神経線維腫の存在は、診療プランの構築に大きな影響を及ぼします。
そこで本日は、NF1患者さんを診療する上で叢状神経線維腫に注目する必要性、診療のポイント、及び薬物治療の選択肢であるコセルゴ®について解説したいと思います。

叢状神経線維腫と悪性末梢神経鞘腫瘍​

叢状神経線維腫は将来的に生命危機に直結するリスクを有しています。​
腫瘍の部位によって気道閉塞や神経障害を起こす可能性がありますが、それに加えて叢状神経線維腫には悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)へと悪性転化する可能性もあります。

MPNSTは、NF1で最も多く発現する悪性腫瘍といわれています。
手術による摘出が基本的な治療となりますが、広範囲切除が推奨されています。​
また、MPNSTは早期転移のリスクが高いと考えられています。​
MPNSTを発症したNF1患者さんの予後を検討したメタアナリシスでは、5年生存率が45%であったことが報告されました。

このように、MPNSTは発症してしまうと対応が難しい腫瘍ですが、低悪性度な段階であれば、機能温存が期待できる場合もあるのです。​
そのため、叢状神経線維腫の段階で発見し、フォローを行い、悪性転化の早期判断と対処を目指すことが重要となります。​

叢状神経線維腫の検出にあたっては、深部、つまり目に見えないところに腫瘍ができる可能性も考慮します。​
自覚症状が乏しくても、深部に腫瘍が存在する可能性があることを理解しておくとよいでしょう。​

患者さんに伝えていること​

私が患者さんに伝える際の工夫として、例えば年1回の受診日にあわせ、前回から症状がどう変化したのか見えるように評価し、またその1年の間にNF1診療でどのような新しい知見が得られたのかを書面に示してお伝えするようにしています。​
それにより、患者さんが通院のメリットを感じやすくなると考えています。​

早期発見につながる悪性化のサインとして、痛みが強くなる、腫瘍が急速に増大するなどが挙げられます。​
患者さんにも必ずお伝えし、異常があればすぐに受診いただくよう、繰り返し指導が必要です。​

新たな介入選択肢であるコセルゴ®

これまでは、疼痛管理といった対症療法を除けば、手術しか選択肢がありませんでした。​
しかし、手術は、他の臓器との境界が不明瞭で切除範囲の判断が困難などの理由から実施が難しい場合も多いのが現状でした。そのような中、新しい選択肢として、経口治療薬であるコセルゴ®が登場しました。​

コセルゴ®の効能又は効果は「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」であり、症状があり、手術で完全に切除ができない叢状神経線維腫を有する、3~18歳のNF1患者さんが適応となります。​

  • コセルゴ®カプセルは、2025年に19歳以上の患者への投与が可能となりました。
    薬剤の最新情報は電子添文をご参照ください。

国内第Ⅰ相試験​

こちらは、コセルゴ®承認の根拠の一つとなった国内第Ⅰ相試験の概要です。​
病的状態を伴う手術不能な叢状神経線維腫を有する小児期の日本人NF1患者さんを対象に、コセルゴ®を1日2回経口投与したときの有効性・安全性などが検討されました。

本試験では、対象となる患者さん12例に、コセルゴ® 25mg/m2(体表面積)を1日2回、連日経口投与しました。

解析計画は、こちらに記載の通りです。​

ベースライン時の疾患特性です。​
外観上の変形や疼痛など、叢状神経線維腫にかかわる何らかの症状がある患者さんが組み入れられました。​

主要評価項目である安全性をお示しします。​
コセルゴ®投与群では、有害事象が12例全例に認められ、治験薬と関連性のある重篤な有害事象として1例の爪囲炎が、減量に至った有害事象として2例の駆出率減少が認められました。​
投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は認められませんでした。​

こちらは、発現率10%以上の有害事象一覧です。
主な有害事象は、湿疹、ざ瘡様皮膚炎などの皮膚症状、下痢、口内炎などの消化器症状、爪囲炎などでした。​

続いて、副次評価項目である客観的奏効率をお示しします。​
標的とする叢状神経線維腫の客観的奏効を達成した患者さんの割合は、約1年(Cycle13 Day1)時点で33.3%でした。​
また、最良総合効果において安定を含めた病勢コントロール率は83.3%でした。​

同じく副次評価項目である腫瘍容積の変化率です。​
​標的とする叢状神経線維腫の最良変化率の中央値は、-28.1%でした。​

終わりに​

コセルゴ®の登場により、NF1診療は変化の最中にあるといえます。
コセルゴ®の対象となる叢状神経線維腫の適切な診断法やコセルゴ®が候補となる患者さんの保護者に、事前にどのような説明が望ましいかといった疑問に対し、臨床経験を重ね、議論しながら、最適な解答を導き出していかなければなりません。​

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