貧血及び血球減少

コセルゴ®における注意事項、異常がみられた場合の対処方法1)

本剤の投与により、貧血及び血球減少があらわれる場合があるので、次の事項に注意してください。

  • 貧血、ヘモグロビン減少、好中球減少、リンパ球減少、血小板減少があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行ってください。

<異常がみられた場合の対処方法>

  • 必要に応じて休薬、減量や投与中止等、適切な処置を行ってください。
  • 厚生労働省のホームページに重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬剤性貧血」「血小板減少症」が掲載されていますのでご参照ください。
    https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1f.html(2024/02/09確認)
  1. コセルゴ適正使用ガイド(2024年3月作成)p28

貧血及び血球減少時の用量調節基準1)

  • GradeはCTCAE ver.4.03に準じる

貧血及び血球減少時のGrade分類(一部)

貧血のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOGより抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
ヘモグロビン<LLN10.0g/dL;<LLN6.2mmol/L;<LLN100g/L ヘモグロビン<10.0-8.0g/dL;<6.2-4.9mmol/L;
<100-80g/L
ヘモグロビン<8.0g/dL;<4.9mmol/L;<80g/L;輸血を要する 生命を脅かす;緊急処置を要する

貧血のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOGより抜粋)3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
ヘモグロビン<LLN10.0g/dL;<LLN6.2mmol/L;<LLN100g/L ヘモグロビン<10.0-8.0g/dL;<6.2-4.9mmol/L;<100-80g/L ヘモグロビン<8.0g/dL;<4.9mmol/L;<80g/L;輸血を要する 生命を脅かす;緊急処置を要する

好中球数減少のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOGより抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-1,500/mm³;
<LLN-1.5×10e9/L
<1,500-1,000/mm³;
<1.5-1.0×10e9/L
<1,000-500/mm³;
<1.0-0.5×10e9/L
<500/mm³;
<0.5×10e9/L

好中球数減少のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOGより抜粋)3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-1,500/mm³;
<LLN-1.5×10e9/L
<1,500-1,000/mm³;
<1.5-1.0×10e9/L
<1,000-500/mm³;
<1.0-0.5×10e9/L
<500/mm³;
<0.5×10e9/L

リンパ球数減少のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOGより抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-800/mm³;
<LLN-0.8×10e9/L
<800-500/mm³;
<0.8-0.5×10e9/L
<500-200/mm³;
<0.5-0.2×10e9/L
<200/mm³;
<0.2×10e9/L

リンパ球数減少のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOGより抜粋)3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-800/mm³;
<LLN-0.8×10e9/L
<800-500mm³;
<0.8-0.5×10e9/L
<500-200/mm³;
<0.5-0.2×10e9/L
<200/mm³;
<0.2×10e9/L

血小板数減少のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOGより抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-75,000/mm³;<LLN-75.0×10e9/L <75,000-50,000/mm³;<75.0-50.0×10e9/L <50,000-25,000/mm³;<50.0-25.0×10e9/L <25,000/mm³;<25.0×10e9/L

血小板数減少のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOGより抜粋) 3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
<LLN-75,000/mm³;<LLN-75.0×10e9/L <75,000-50,000/mm³;<75.0-50.0×10e9/L <50,000-25,000/mm³;<50.0-25.0×10e9/L <25,000/mm³;<25.0×10e9/L
  1. コセルゴ電子添文2023年12月改訂(第3版)
  2. JCOGホームページ: Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Version 4.0, https://jcog.jp/assets/CTCAEv4J_20170912_v20_1.pdf, 2024/08/06確認
  3. JCOGホームページ: Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Version 5.0, https://jcog.jp/assets/CTCAEv5J_20220901_v25_1.pdf, 2024/08/06確認

臨床試験での初回発現時期

海外第Ⅱ相試験における貧血、好中球数減少、リンパ球数減少、血小板数減少の初回発現時期は図の通りでした(海外データ)1)

(データカットオフ1:2018年6月29日)

臨床試験での発現状況(海外データを含む)2)3)

臨床試験での有害事象の発現状況(海外第Ⅱ相試験、国内第Ⅰ相試験、海外第Ⅰ相試験群と海外第Ⅱ相試験群の併合集団)

  • 海外第Ⅱ相試験、国内第Ⅰ相試験、及び小児患者の併合集団において、本剤が投与された患者における貧血及び血球減少の発現状況は以下の通りでした。
試験 全Grade
例(%)
Grade3以上
例(%)
貧血 好中球数
減少
リンパ球数
減少
血小板数
減少
貧血 好中球数
減少
リンパ球数
減少
血小板数
減少
海外第II相試験
50例
27
(54.0)
19
(38.0)
15
(30.0)
6
(12.0)
2
(4.0)
2
(4.0)
1
(2.0)
0
(0.0)
国内第I相試験
12例
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
小児患者の併合集団(海外第Ⅰ相試験群+海外第Ⅱ相試験群)74例 40
(54.1)
33
(44.6)
31
(41.9)
8
(10.8)
2
(2.7)
3
(4.1)
1
(1.4)
0
(0.0)

Gradeは海外第Ⅰ相試験及び海外第Ⅱ相試験ではCTCAE ver.4.0に、国内第Ⅰ相試験ではCTCAE ver.5.0に準じる。

  • 小児患者の併合集団において、重篤な有害事象は2例(2.7%)、Grade3以上の有害事象は5例(6.8%)、休薬に至った有害事象は1例(1.4%)認められました。投与中止及び減量に至った有害事象は認められませんでした。
  • 小児患者の併合集団において、赤血球減少性事象(MedDRA SMQ「造血障害による赤血球減少症(Broad)」に含まれる事象)として、Grade3の貧血が2例(2.7%)認められ、本剤との関連ありと判断されました。1例(1.4%)は休薬及び支持療法により、1例(1.4%)は支持療法のみで回復しました。認められた貧血は、概ね非重篤かつGrade1又は2の事象であり、本剤の減量又は投与中止に至った事象は認められず、孤発的又は単独の検査所見に限定されているものが多く、臨床的続発症は報告されませんでした。
  • 小児患者の併合集団において、血小板減少性事象(MedDRA SMQ「造血障害による血小板減少症(Broad)」に含まれる事象)について、減量や投与中止に至った患者は認められず、Grade3以上の事象は認められませんでした。転帰は、8例(10.8%)全例で回復でした。最も多く報告された出血性の有害事象は鼻出血(すべてGrade1)で、その他の出血性事象はGrade2の直腸出血1例(1.4%)を除いて、全てGrade1(下部消化管出血、口腔内出血、肛門出血、直腸出血各1例[1.4%])でした。認められた出血性事象のうち、血小板減少性事象と同時に報告された事象はありませんでした。
  • 小児患者の併合集団において、白血球・リンパ球・好中球減少性事象について、本剤の減量又は投与中止に至った事象は認められず、リンパ球数減少の1例(1.4%)、好中球数減少の3例(4.1%)でGrade3でしたが、いずれも回復しました。いずれの症例も感染症の増加傾向は認められませんでした。
  • 小児患者の併合集団において、血小板減少性事象及び白血球減少性事象(MedDRA SMQ「造血障害による白血球減少症(Broad)」に含まれる事象)は重症度の基準によらず、全ての検査値異常が有害事象として報告されました。しかし、意味のある傾向や変化のパターンは特定されておらず、臨床的意義は低いと考えられました。血小板減少性事象の1例(1.4%)を除き、いずれも本剤投与継続中に回復しました。
  • 国内第Ⅰ相試験において、造血障害関連の有害事象は認められませんでした。
海外第Ⅰ相試験(SPRINT試験第Ⅰ相)の試験概要
【目的】
NF1患者のPNに対するコセルゴ®の最大耐量、第Ⅱ相試験推奨用量、薬物動態、安全性、忍容性、及び有効性を検討すること
【対象】
組み入れ時に手術不能なPNを有する小児期のNF1患者24例
【方法】
標準的な3+3用量漸増デザインを用いて、コセルゴ®を3用量(20、25、30mg/m²[体表面積])について評価した。
コセルゴ®は1日2回(約12時間毎)を連日経口投与した。
【リミテーション】
NF1患者に対して未検証のアウトカム指標が含まれている。
海外第Ⅱ相試験(SPRINT試験第Ⅱ相-1)の試験概要
【目的】
NF1患者のPNに対する抗腫瘍効果及び臨床転帰から有効性を検討し、安全性についても検討すること
【対象】
組み入れ時にPN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期のNF1患者50例
【方法】
コセルゴ®25mg/m²(体表面積)1日2回(約12時間毎)を連日経口投与し、コセルゴ®の有効性・安全性を評価する。
【リミテーション】
NF1患者に対して未検証のアウトカム指標が含まれている。
国内第Ⅰ相試験(D1346C00013試験)の試験概要
【目的】
PN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期の日本人NF1患者を対象にコセルゴ®の安全性、有効性、及び薬物動態について検討すること
【対象】
PN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期の日本人NF1患者12例
【方法】
コセルゴ® 25mg/m²(体表面積)1日2回(約12時間毎)を連日経口投与し、コセルゴ®の有効性・安全性を評価する。
【リミテーション】
患者数が少ないため、まれな有害事象の検出率が限られていた可能性がある。フォローアップ期間が短期である。
第Ⅰ相試験であり、有効性は予備的な評価である。
  1. コセルゴ安全性マネジメントポケットガイド(2023年11月作成)p40, 41
  2. コセルゴ適正使用ガイド(2024年3月作成)p28, 29
  3. 社内資料:注意を要する副作用とその対策(承認時評価資料)
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