コセルゴ®関連の副作用(有害事象)についての推奨事項
欧州の医師によるコンセンサスベースの推奨事項をご紹介いたします1)。
全般的な管理については以下の通りです。
– 報告された低Gradeな副作用(有害事象)に対して
コンセンサス100%
起こりうる有害事象、積極的な管理によって有害事象をコントロールする必要性について、患者及び介護者へ適切な教育を行う。
- 教育は、医師、看護師、心理社会的支援者を含む集学的なチームによって行われるべきである。
- 介入の根拠となる小さな変化に気づくために、患者を注意深く観察すべきである。
- 患者には対処法を教え、中立的な情報(例:感情に影響するような絵や画像は使わない)を含む年齢に応じた視覚化ツールを使用すべきである。
- 患者及び介護者は、疾患の負担による孤独感や孤立感を軽減し、あらゆる支援ができる患者団体を知るべきである。
– 精神面に対して
コンセンサス100%
(集学的チームによる)計画的な休薬後、患者が治療のベネフィットやリスクにうまく対処できるか評価するため、試験的にセルメチニブを再開する。
- 可能であれば、患者とその家族は、セルメチニブ治療開始時から心理カウンセリングと社会的支援を受けるべきである。このことは患者の幸福度を向上させると同時に、治療コンプライアンスも確保することができる。
- 患者の休薬期間中に、心理カウンセラーとの面談を行い、治療モチベーション、有害事象に伴う負担、治療コンプライアンスを評価すべきである。
試験概要
- 【目的】
- PNを有する小児NF1患者に対するセルメチニブ関連の副作用(有害事象)の予防・管理のベストプラクティス、及び詳細な戦略を提供すること
- 【方法】
- 修正デルファイ法を使用した。ただし、従来のデルファイ法とは異なり、最初のステートメントは文献調査に基づき開発された。その後、専門家パネルセッションを2回開催した後に、ステートメントへの投票等が行われた。1~9(1:強い不同意、9:強い同意)のスケールのなかで、専門家パネルの75%以上が7以上とした場合に、「コンセンサスを得た」と定義した。専門家パネルは、PNを有する小児NF1患者へセルメチニブ(又はそのほかのMEK阻害剤*)を処方、かつ/又は管理した経験がある欧州の医療関係者10名で構成された。CTCAEに従い、副作用(有害事象)の重症度を分類した。
- 【リミテーション】
- 欧州の代表者10名による議論で作成されており、欧州以外のセルメチニブ承認国では推奨事項が適応とならない可能性がある。すべての副作用(有害事象)については検討されていない。
- 本邦未承認(2024年8月時点)
▶ 専門家パネルメンバー
小児科医
小児腫瘍医
小児神経腫瘍医
小児神経科医
皮膚科医
神経科医
腫瘍医
心理士
※小児神経腫瘍医、心理士はそれぞれ2名ずつ
- Azizi AA. et al.: Neurooncol Pract 11(5): 515-531, 2024[COI:本研究は、アレクシオンファーマ合同会社の支援により実施され、編集助手はAlexion AstraZeneca Rare Diseaseより資金提供を受けている。著者の中には、アレクシオンファーマ合同会社及びアストラゼネカ株式会社の諮問委員会のメンバーや講演会の謝礼金、渡航費、研究助成費を受領している者が含まれる]
Azizi AA. et al., Consensus recommendations on management of selumetinib-associated adverse events in pediatric patients with neurofibromatosis type 1 and plexiform neurofibromas, Neurooncol Pract, 2024, 11(5), 515-531, by permission of Oxford University Press