重篤な皮膚障害

コセルゴ®における注意事項、異常がみられた場合の対処方法1)

本剤の投与により、重篤な皮膚障害があらわれる場合があるので、次の事項に注意してください。

  • 小児患者を対象とした臨床試験において、Grade3以上の事象及び減量・休薬、投与中止に至った事象として皮膚及び粘膜関連の有害事象が認められています。
  • 既承認のMEK阻害剤において、ざ瘡様皮膚炎や発疹等の発現が報告されています。

<異常がみられた場合の対処方法>

  • 必要に応じて休薬、減量や投与中止等、適切な処置を行ってください。
  1. コセルゴ適正使用ガイド(2024年3月作成)p34

具体的な推奨:ざ瘡様皮膚炎

欧州の医師によるコンセンサスベースの推奨事項をご紹介いたします1)

コンセンサス100%

軽度のざ瘡様皮膚炎には、外用抗生剤、及び/又はlow potencyレベルの副腎皮質ステロイド外用剤を使用すべきである。

  • 一般的には、外用抗生剤が治療の第一選択である。
  • 副腎皮質ステロイド外用剤は、感染の徴候がなく、顕著な炎症が認められる場合にのみ追加する。
  • 適切と判断される場合、治療の指針のためにスワブによる細菌の特定も考慮すべきである。
コンセンサス83%

重度のざ瘡様皮膚炎を有する患者には、半合成経口テトラサイクリン系抗生剤の使用を考慮すべきである。患者が8歳未満の場合は、外用抗生剤の使用が望ましい。

  • より重篤な症例では抗生剤の内服が考慮される。
  • 経口のテトラサイクリンは症状がある限り、2~6週間使用すべきである。
  • エリスロマイシンクリームとフシジン酸+ベタメタゾンクリームの外用による初期治療後に、皮膚病変がわずかに悪化した後、ドキシサイクリンの全身投与により、MEK1/2阻害剤誘発の医原性ざ瘡様皮膚炎の治療に成功した症例がある。さまざまな抗生剤、外用剤、及び最小限の効果しかないと考えられていた手術による治療の後、ドキシサイクリンにより難治性のセルメチニブ誘発性爪囲炎が治癒した12歳のNF1症例が報告されている。したがって、ドキシサイクリンは、難治性の皮膚関連の有害事象を有する8歳以上の患者にとって、好ましい治療薬である可能性がある。
  • 日本では一般的にステロイド外用剤を5段階で分類しているが、米国のガイドラインでは7段階(Ⅰ:very high potency、Ⅱ:high potency、Ⅲ-Ⅳ:medium potency、Ⅴ:low-medium potency、Ⅵ:low potency、Ⅶ:lowest potency)で分類されている2)3)
    ※各薬剤や対処法の詳細は、それぞれの電子添文等をご参照ください。
  1. Azizi AA. et al.: Neurooncol Pract 11(5): 515-531, 2024[COI:本研究は、アレクシオンファーマ合同会社の支援により実施され、編集助手はAlexion AstraZeneca Rare Diseaseより資金提供を受けている。著者の中には、アレクシオンファーマ合同会社及びアストラゼネカ株式会社の諮問委員会のメンバーや講演会の謝礼金、渡航費、研究助成費を受領している者が含まれる]
    Azizi AA. et al., Consensus recommendations on management of selumetinib-associated adverse events in pediatric patients with neurofibromatosis type 1 and plexiform neurofibromas, Neurooncol Pract, 2024, 11(5), 515-531, by permission of Oxford University Press
  2. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会(編). 日皮会誌 131(13): 2691-2777, 2021
  3. Eichenfield LF. et al.: J Am Acad Dermatol 71(1): 116-132, 2014

症例写真:MEK阻害剤による爪囲炎(海外データ)

足趾に発現1)

爪周囲の炎症だけでなく、化膿性肉芽腫様の病変も認められる

具体的な推奨:爪囲炎

欧州の医師によるコンセンサスベースの推奨事項をご紹介いたします2)

コンセンサス100%

爪囲炎を予防するため、患者は手足への潜在的な外傷を防ぐように努め(例:窮屈な靴を履かない)、爪の管理についてアドバイスを受けるべきである(例:爪を短く切りすぎない、爪郭の近くまで切らない)。

  • その他の爪の管理のコツには、爪を噛まない、爪上皮を剥かない、ひっかかない、マニキュアをしない、指しゃぶりをしないことが含まれる。
  • 爪を切る前に消毒薬を使用してもよい。
コンセンサス100%

全Gradeの爪囲炎では、1日2回、開封してから日が経っていない消毒薬を入れたお湯へ患部を浸し、患部の爪を柔らかくすべきである。

爪を1日1~2回、5~20分ぬるま湯かお湯に浸ける。参考文献では、膿を伴わない爪囲炎の治療として、多くは消毒薬入りのお湯につけることによる爪の軟化のみで十分だと記載されている。浸した後は、爪を水で洗いしっかり乾燥させる。治るまでこのような治療を続けることが望ましいが、1週間しても改善が見られない場合、治療の追加を考慮する。

  • Lee DK. et al.: Ann Med 54(1): 694-712, 2022

消毒薬の例:クロルヘキシジン(希釈)、漂白剤(非常に低濃度に希釈)、ポピドンヨード水溶液

コンセンサス100%

感染は、外用抗生剤使用の有無にかかわらず、地域で実施されている方法に従い、消毒薬により管理をすべきである。

  • 投与量と治療期間は、使用する外用抗生剤によって異なる。外用抗生剤は軽度の感染にのみ使われる可能性があるが、密封療法の是非については意見が分かれている。可能であれば、患部をぬぐい、細菌を特定したうえで適する外用抗生剤を選択すべきである。
  • ステロイドと外用抗生剤の併用は、MEK阻害剤などで見られる慢性炎症反応の管理において考慮されうる。
  • 真菌感染が認められた場合、外用抗生剤と外用抗真菌薬を併用してもよい。抗真菌薬による全身療法を選択する際には、セルメチニブの最高血漿中濃度を上昇させる可能性があるため、フルコナゾール(強力なシトクロムP450 2C19[CYP2C19]/中等度CYP3A4阻害剤)及びイトラコナゾール(強力なCYP3A4阻害剤)の使用は避けるべきである。
コンセンサス100%

CTCAE Grade2の爪囲炎では、患部から検体を採取し感染が否定された時点で、high potencyレベル**のステロイド(外用剤)を使用すべきである。感染が疑われる場合は、抗生剤の全身投与を推奨する。このような管理でうまくいかない場合は、セルメチニブの減量やその後の投与中止を考慮すべきである。

  • 爪囲炎が1本の指趾だけに起きている場合、全身性抗生剤を使用してはならず、医師のベストプラクティスと判断に任せた治療をすべきである。
  • 密封包帯法(occlusive bandages)はステロイドの外用と同時に使用してもよい。具体的には、非感染性の慢性爪囲炎に対するフルドロキシコルチドテープは、ステロイド外用の2つの効果である塗布・吸収に加え、密閉もできるため推奨されている。
  • 可能であれば、採取された細菌に応じて、特定の抗生剤の選択を行うべきである。
  • 抗生剤の全身投与の際には、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リファンピシンの使用は避けるべきである。
コンセンサス83%

患部から膿が確認された場合、(細菌を特定し最適な)抗生剤の全身投与と副腎皮質ステロイド(外用又は全身投与)を併用する。副腎皮質ステロイドの単独投与は、患部からサンプルを採取し、感染が否定された場合のみとすべきである。

  • 原因の細菌が特定できない場合は、最も関与している可能性が高いブドウ球菌を標的としてもよい。
  • ステロイドの全身投与はほとんど行われず、ステロイド外用の使用が選択されることが多い。
  • 抗生剤の全身投与の際には、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リファンピシンの使用は避けるべきである。
コンセンサス88%

爪囲炎のさらなる発現を予防するため、担当医は専門医(例:足病医、皮膚科医、小児外科医)への紹介を考慮すべきである。

専門医への紹介は、爪囲炎の予防と治療の両面で考慮すべきである。しかし、軽症の場合は不要と考えられる。過去に爪囲炎の発症経験がある場合には、予防のために専門医への紹介をより強く考慮すべきである。

  • 日本では一般的にステロイド外用剤を5段階で分類しているが、米国のガイドラインでは7段階(Ⅰ:very high potency、Ⅱ:high potency、Ⅲ-Ⅳ:medium potency、Ⅴ:low-medium potency、Ⅵ:low potency、Ⅶ:lowest potency)で分類されている3)4)
  • 各薬剤や対処法の詳細は、それぞれの電子添文等をご参照ください。

10.2 併用注意(併用に注意すること)(一部抜粋)5)

薬剤名 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

強い又は中程度のCYP3A阻害剤

  • クラリスロマイシン
  • エリスロマイシン
  • イトラコナゾール等

グレープフルーツジュース

[7.7、16.7.1、16.7.4 参照]

本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
やむを得ず併用する場合には、減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

フルコナゾール

[7.7、16.7.2 参照]

本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
やむを得ず併用する場合には、減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
CYP2C19及びCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

強い又は中程度のCYP3A誘導剤

  • フェニトイン
  • リファンピシン
  • カルバマゼピン等

[16.7.3、16.7.4 参照]

本剤の効果が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
  1. Dagher SH. et al.: Int J Womens Dermatol 7(5Part A): 615-624, 2021
  2. Azizi AA. et al.: Neurooncol Pract 11(5): 515-531, 2024[COI:本研究は、アレクシオンファーマ合同会社の支援により実施され、編集助手はAlexion AstraZeneca Rare Diseaseより資金提供を受けている。著者の中には、アレクシオンファーマ合同会社及びアストラゼネカ株式会社の諮問委員会のメンバーや講演会の謝礼金、渡航費、研究助成費を受領している者が含まれる]
    Azizi AA. et al., Consensus recommendations on management of selumetinib-associated adverse events in pediatric patients with neurofibromatosis type 1 and plexiform neurofibromas, Neurooncol Pract, 2024, 11(5), 515-531, by permission of Oxford University Press
  3. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会(編). 日皮会誌 131(13): 2691-2777, 2021
  4. Eichenfield LF. et al.: J Am Acad Dermatol 71(1): 116-132, 2014
  5. コセルゴ電子添文2023年12月改訂(第3版)

具体的な推奨:湿疹

欧州の医師によるコンセンサスベースの推奨事項をご紹介いたします1)

コンセンサス100%

湿疹の予防と管理のために、患者はエモリエント剤で1日2回保湿を行うべきである。

露出部や皮膚のしわにも注意しながら、全身を保湿すべきである。特にシャワーや入浴後の保湿を推奨する。

コンセンサス100%

症状を伴う湿疹には、low potencyレベルのステロイド外用剤を使用すべきである。

治療期間は1~2週間とし、この期間内に湿疹が消失した場合にはステロイドを早期に中止可能である。

コンセンサス83%

症状を伴う湿疹が、low potencyレベルのステロイド外用剤で消失しない場合には、より強力なステロイド外用剤へ変更すべきである。より強力なステロイド外用剤でもコントロールできない場合は、セルメチニブの減量を考慮すべきである。

  • 通常、より強力なステロイド外用剤へ切り替える前に、3~7日間待つようパネルは推奨している。より強力なステロイド外用剤で改善がみられた場合、その後エモリエント剤とlow potencyレベルのステロイド外用剤を使用することが、湿疹のコントロールに役立つ。
  • 二次感染の可能性がある場合(例:擦過傷、膿痂疹を伴う湿疹又はヘルペス性湿疹)には、より緊急の皮膚科的評価及び治療の拡大が必要である。
コンセンサス83%

そう痒を伴う湿疹には、重症度にかかわらず抗ヒスタミン薬を追加すべきである。

  • 日本では一般的にステロイド外用剤を5段階で分類しているが、米国のガイドラインでは7段階(Ⅰ:very high potency、Ⅱ:high potency、Ⅲ-Ⅳ:medium potency、Ⅴ:low-medium potency、Ⅵ:low potency、Ⅶ: lowest potency)で分類されている2)3)
  • 各薬剤や対処法の詳細は、それぞれの電子添文等をご参照ください。
  1. Azizi AA. et al.: Neurooncol Pract 11(5): 515-531, 2024[COI:本研究は、アレクシオンファーマ合同会社の支援により実施され、編集助手はAlexion AstraZeneca Rare Diseaseより資金提供を受けている。著者の中には、アレクシオンファーマ合同会社及びアストラゼネカ株式会社の諮問委員会のメンバーや講演会の謝礼金、渡航費、研究助成費を受領している者が含まれる]
    Azizi AA. et al., Consensus recommendations on management of selumetinib-associated adverse events in pediatric patients with neurofibromatosis type 1 and plexiform neurofibromas, Neurooncol Pract, 2024, 11(5), 515-531, by permission of Oxford University Press
  2. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会(編). 日皮会誌 131(13): 2691-2777, 2021
  3. Eichenfield LF. et al.: J Am Acad Dermatol 71(1): 116-132, 2014

具体的な推奨:その他の皮膚障害

欧州の医師によるコンセンサスベースの推奨事項をご紹介いたします1)

コンセンサス85%

皮疹や毛髪の変色を予防・管理するため、過度の日光への曝露を避けるか、日光に当たる場合には保護のための衣服(例:帽子、サングラス、長袖、ズボン)を着用するよう患者に助言すべきである。

コンセンサス75%

執拗に、又は心因性の問題でひっかいてしまう、爪を噛んでしまうといった強迫行為や皮膚症状を悪化させる行為を軽減するために、心理社会的支援を利用できるようにすべきである。

可能であれば、心理士を含む集学的チームが治療に関与すべきである。心理士が初回面談に参加すれば、治療中、継続して支援を提供することができる。また、有害事象の心理社会的影響の可能性と重症度を評価するだけでなく、有害事象の予防・管理をより困難にする認知リスクや脆弱性を評価することができる。心理士は必要な心理社会的支援を患者と介護者に提供・調整し、有害事象から生じる負担の予防策を伝えることができる。このアプローチは皮膚関連以外の有害事象にも適用可能であり、価値があるだろう。

  • 各薬剤や対処法の詳細は、それぞれの電子添文等をご参照ください。
  1. Azizi AA. et al.: Neurooncol Pract 11(5): 515-531, 2024[COI:本研究は、アレクシオンファーマ合同会社の支援により実施され、編集助手はAlexion AstraZeneca Rare Diseaseより資金提供を受けている。著者の中には、アレクシオンファーマ合同会社及びアストラゼネカ株式会社の諮問委員会のメンバーや講演会の謝礼金、渡航費、研究助成費を受領している者が含まれる]
    Azizi AA. et al., Consensus recommendations on management of selumetinib-associated adverse events in pediatric patients with neurofibromatosis type 1 and plexiform neurofibromas, Neurooncol Pract, 2024, 11(5), 515-531, by permission of Oxford University Press

皮膚障害の用量調節基準1)

  • GradeはCTCAE ver.4.03に準じる

皮膚障害のGrade分類(一部)

ざ瘡様皮膚炎のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOG[ざ瘡様皮疹]より抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
体表面積の<10%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、そう痒や圧痛の有無は問わない 体表面積の10-30%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、そう痒や圧痛の有無は問わない;社会心理学的な影響を伴う;身の回り以外の日常生活動作の制限 体表面積の>30%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、そう痒や圧痛の有無は問わない;身の回りの日常生活動作の制限;経口抗菌薬を要する局所の重複感染 紅色丘疹及び/又は膿疱が体表のどの程度の面積を占めるかによらず、そう痒や圧痛の有無も問わないが、静注抗菌薬を要する広範囲の局所の二次感染を伴う;生命を脅かす

ざ瘡様皮膚炎のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOG[ざ瘡様皮疹]より抜粋)3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
体表面積の<10%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、そう痒や圧痛の有無は問わない 体表面積の10-30%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、そう痒や圧痛の有無は問わない;社会心理学的な影響を伴う;身の回り以外の日常生活動作の制限;体表面積の>30%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、軽度の症状の有無は問わない 体表面積の>30%を占める紅色丘疹及び/又は膿疱で、中等度又は高度の症状を伴う;身の回りの日常生活動作の制限;経口抗菌薬を要する局所の重複感染 生命を脅かす;紅色丘疹及び/又は膿疱が体表のどの程度の面積を占めるかによらず、そう痒や圧痛の有無も問わないが、抗菌薬の静脈内投与を要する広範囲の局所の二次感染を伴う

爪囲炎のGrade分類(CTCAE v4.0 - JCOGより抜粋)2)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
爪襞の浮腫や紅斑;角質の剥脱 局所的処置を要する;内服治療を要する(例:抗菌薬/抗真菌薬/抗ウイルス薬);疼痛を伴う爪襞の浮腫や紅斑;滲出液や爪の分離を伴う;身の回り以外の日常生活動作の制限 外科的処置や抗菌薬の静脈内投与を要する;身の回りの日常生活動作の制限 -

爪囲炎のGrade分類(CTCAE v5.0 - JCOGより抜粋)3)

Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
爪襞の浮腫や紅斑;角質の剥脱 局所的治療を要する;内服治療を要する(例:抗菌薬/抗真菌薬/抗ウイルス薬);疼痛を伴う爪襞の浮腫や紅斑;滲出液や爪の分離を伴う;身の回り以外の日常生活動作の制限 外科的処置を要する;抗菌薬の静脈内投与を要する;身の回りの日常生活動作の制限 -
  1. コセルゴ電子添文2023年12月改訂(第3版)
  2. JCOGホームページ: Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Version 4.0, https://jcog.jp/assets/CTCAEv4J_20170912_v20_1.pdf, 2024/08/06確認
  3. JCOGホームページ: Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Version 5.0, https://jcog.jp/assets/CTCAEv5J_20220901_v25_1.pdf, 2024/08/06確認

臨床試験での初回発現時期

海外第Ⅱ相試験における発疹、皮膚乾燥、ざ瘡様皮膚炎、爪囲炎の初回発現時期は図の通りでした(海外データ)1)

(データカットオフ1:2018年6月29日)

臨床試験での発現状況(海外データを含む)2)3)

臨床試験での有害事象の発現状況(海外第Ⅱ相試験、国内第Ⅰ相試験、海外第Ⅰ相試験群と海外第Ⅱ相試験群の併合集団)

  • 海外第Ⅱ相試験、国内第Ⅰ相試験、及び小児患者の併合集団において、本剤が投与された患者における重篤な皮膚障害の発現状況は以下の通りでした。
試験 全Grade
例(%)
Grade3以上
例(%)
ざ瘡様
皮膚炎
爪囲炎 ざ瘡様
皮膚炎
爪囲炎
海外第II相試験
50例
28
(56.0)
28
(56.0)
3
(6.0)
4
(8.0)
国内第I相試験
12例
6
(50.0)
5
(41.7)
0
(0.0)
1
(8.3)
小児患者の併合集団(海外第Ⅰ相試験群+海外第Ⅱ相試験群)
74例
45
(60.8)
42
(56.8)
3
(4.1)
10
(13.5)

Gradeは海外第Ⅰ相試験及び海外第Ⅱ相試験ではCTCAE ver.4.0に、国内第Ⅰ相試験ではCTCAE ver.5.0に準じる。

  • 小児患者の併合集団において、重篤な有害事象は認められませんでした。Grade3以上の有害事象は15例(20.3%)で、爪囲炎10例(13.5%)、ざ瘡様皮膚炎3例(4.1%)、斑状丘疹状皮疹2例(2.7%)等が認められました。投与中止に至った有害事象は2例(2.7%)で、その内訳は爪囲炎及び口内炎の各1例(1.4%)でした。減量に至った有害事象は11例(14.9%)、休薬に至った有害事象は24例(32.4%)で、爪囲炎、口内炎及び斑状丘疹状皮疹等が認められました。減量に至った有害事象の11例中8例は、皮膚関連の病歴(そう痒症、皮膚色素過剰、ざ瘡様皮膚炎、アトピー性皮膚炎及び湿疹)を有していました。
  • 国内第Ⅰ相試験において、重篤な有害事象及びGrade3以上の有害事象として1例(8.3%)の爪囲炎が認められました。投与中止、減量及び休薬に至った有害事象は認められませんでした。
  • MEK阻害剤による爪囲炎は、MAPK経路の阻害により角化細胞の増殖停止及び早期分化を生じることによるものと考えられ4)、小児患者は、指しゃぶりや爪噛みにより口腔内細菌叢が手指に直接接種されることで、急性爪囲炎を発症しやすいと報告されています5)。なお、本剤を用いた成人悪性腫瘍患者を対象とした併合集団における爪囲炎の発現割合は1.3%(1/79例)であり、小児患者の併合集団と比較して低い数値が報告されています。

臨床試験での処置1)

  • 症状に応じて休薬・減量・投与中止の対応を行いました。
  • 国内第Ⅰ相試験では、小児の皮疹に対する治療推奨事項として、以下のことが定められていました6)
Grade1 軽度の強さの外用ステロイド及び外用抗生物質の塗布を行う。
Grade2以上 中等度の強さの外用ステロイドを塗布し、経口抗生物質の投与を開始(外用抗生物質は経口抗生物質の開始前に中止)する。
  • 国内第Ⅰ相試験では、爪囲炎への治療推奨事項として、以下のことが定められていました6)
Grade1 患部を酢液に1日2回(酢1:水2)浸し、かつ外用抗生物質ムピロシンを1日2回塗布する。
Grade2 患部を酢液に1日2回(酢1:水2)浸し、抗生物質の全身投与(セファレキシン、クリンダマイシン)及び強力なステロイド(就寝時にクロベタゾール軟膏0.05%を塗布してラップフィルムで覆うか、又はフルドロキシコルチドテープを貼る。これらは朝に取り除くこと)で治療する。
Grade3 重症の場合は、切開排膿又は外科的処置のために受診する。
肉芽組織が認められる場合は、医師の管理下で硝酸銀の使用を検討する。
  • 各薬剤の効能又は効果に関しては、それぞれの電子添文をご参照ください。
海外第Ⅰ相試験(SPRINT試験第Ⅰ相)の試験概要
【目的】
NF1患者のPNに対するコセルゴ®の最大耐量、第Ⅱ相試験推奨用量、薬物動態、安全性、忍容性、及び有効性を検討すること
【対象】
組み入れ時に手術不能なPNを有する小児期のNF1患者24例
【方法】
標準的な3+3用量漸増デザインを用いて、コセルゴ®を3用量(20、25、30mg/m²[体表面積])について評価した。
コセルゴ®は1日2回(約12時間毎)を連日経口投与した。
【リミテーション】
NF1患者に対して未検証のアウトカム指標が含まれている。
海外第Ⅱ相試験(SPRINT試験第Ⅱ相-1)の試験概要
【目的】
NF1患者のPNに対する抗腫瘍効果及び臨床転帰から有効性を検討し、安全性についても検討すること
【対象】
組み入れ時にPN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期のNF1患者50例
【方法】
コセルゴ®25mg/m²(体表面積)1日2回(約12時間毎)を連日経口投与し、コセルゴ®の有効性・安全性を評価する。
【リミテーション】
NF1患者に対して未検証のアウトカム指標が含まれている。
国内第Ⅰ相試験(D1346C00013試験)の試験概要
【目的】
PN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期の日本人NF1患者を対象にコセルゴ®の安全性、有効性、及び薬物動態について検討すること
【対象】
PN関連の病的状態を伴い、手術不能なPNを有する小児期の日本人NF1患者12例
【方法】
コセルゴ® 25mg/m²(体表面積)1日2回(約12時間毎)を連日経口投与し、コセルゴ®の有効性・安全性を評価する。
【リミテーション】
患者数が少ないため、まれな有害事象の検出率が限られていた可能性がある。フォローアップ期間が短期である。
第Ⅰ相試験であり、有効性は予備的な評価である。
  1. コセルゴ安全性マネジメントポケットガイド(2023年11月作成)p45-47
  2. コセルゴ適正使用ガイド(2024年3月作成)p34
  3. 社内資料:注意を要する副作用とその対策(承認時評価資料)
  4. Roberts PJ. et al.: Oncogene 26(22): 3291-3310, 2007
  5. Rockwell PG.: Am Fam Physician 63(6): 1113-1116, 2001
  6. 社内資料:国内第Ⅰ相試験(D1346C00013)(承認時評価資料)
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